GOOD AQUARIUM Design Award

2023 エントリー作品

06　アクア水中香炉

2023-06
プロダクト / 水槽装飾品
知水堂

「魚は韻の中で泳ぐ」をコンセプトにした水中装飾品

【作品概要】
専用エアーストーンから微細な気泡を発生させ、水中でお香を焚いているよう演出した香炉型の水槽用装飾品である。

【デザインが生まれた理由／背景】
近年、様々なアクアリウムが表現されている。水中香炉は芸術、工芸、アンティークの世界を水中で表現した新たな試みである。日本の精神性の現れである床の間は盆栽、掛物、香炉などを荘(かざ)る事によってその場に風韻を生むが、床飾り一点があるだけで空間が引き締まり韻致を発するその〝一点〟を水槽の中で表現しうようとする試みである。岡倉天心は美を「あらわに見せるのではなく、ほのめかす」と云ったが、具体より抽象、顕に対して幽の世界を水中で表現しようとする試みである。水中香炉はその水の世界の主要な一点となるよう開発したものです。魚は水の中で泳ぐと同時に韻の中で泳いでいる。畢竟、観賞している人間がその風韻を発する空間の美に浸り、水の内と外の境界を無くし、たゆたう事が眼目である。

【企画開発者・デザイナーの思い】
「如何すれば水中でお香を焚いているように見せれるか」この課題に対し幾度も試作や微調整を繰り返しながら開発を続けて参りました。発生させた気泡がお香のように水中でくゆるには。気泡の滞留時間を延ばすには。エアーストーンの径、セラミックの気孔径、発生させた気泡が香炉内で溜まらずに水中に出るには。香炉の美観を損なわないようにするには。香炉蓋の穴の大きさ、香炉用中空管パイプの寸法や形状。これら様々な問題に対して試行錯誤を重ね、一進一退しながらここまできました。水中香炉は難しい専門知識や業務用のアクアリウム用品がなくても扱えるよう開発しました。より多くの人に手に取って頂き、風韻のある水の世界を共有出来たら幸いです。

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